More info and Photography基礎知識の詳細と写真
材質による分類
木製建具
ケヤキ材の框戸(かまちど)
鏡板(パネル)に彫刻を施した玄関ドア
スチール扉の木質化粧貼り
↓
木の板を貼り付けて
↓
(写真は初台の新国立劇場小劇場の入口のもの)
木製建具の部材の名称
ムク建具の基本デザイン
ここに木製ムク建具の基本デザインを示します。
これらはほんの一例に過ぎません。デザインのパターンは無限にあります。
穴ホゾの仕組み
木製の建具の最も基本となる組み付け部分の加工方法を「穴ホゾ」と呼びます。
下の写真は、「ホゾ」が2枚になっている「2枚ホゾ」という納め方の例です。
組手の仕組み
四角い棒状の木材を格子状に組み立てるための加工方法を「組手」と書いて、「くで」と呼びます。
この「組手」によって組み立てられた格子が組子(くみこ)です。
頑丈な建具
寺院の山門に取り付けられた門扉。
部材ひとつひとつの材料を吟味し、太く、分厚いものを用いることによって、数十年、数百年の使用に耐えることができます。
繊細な建具
洗練されたデザインと確かな技術
このふたつが出会うことによって、繊細にして十分な強度を持った建具が生み出されます。
木製ドアの製作工程
普段、なかなか見ることができないドアの製造工程を見てみましょう。
1枚の材木の板が、様々な加工を経て「ドア」へと変身していきます。
ここでは下の図面のドアができるまでをご紹介します。
木製ドアの製作工程
材料の選定
木取り(きどり)作業
それぞれの部材の寸法に合わせて、少し大きめに長さ・幅を決めます。
木削り(きけずり)作業
木取りを終えた材料の4面を削り、各面の直角を出しながら幅と厚さを決めます。
右の写真は荒木(あらき~削る前)と削り終わった材料の比較です。
墨付けと穴掘り
削りあがった材料に印を付け(墨付け)、組み付けをするための穴(ホゾ穴)を掘ります。(写真左)
穴は角ノミ穴掘り機で掘ります。(写真右)
ホゾ取り作業
穴に組み付ける部分=「ホゾ」の加工をします。(ホゾ取り)
ホゾ取り作業(2)
ホゾ取り加工が終わった状態。穴に組み付け易くするためホゾの先端に面を取ります。(写真右)
面取り作業
続いて面取り加工をします。面を取ることによってデザイン性が向上します。
写真(右)の面形状は「銀杏(ぎんなん)面」と呼ばれ、他にもいろいろな種類があります。
小穴突き作業
パネルを組み付けたり、ガラスを入れるための小穴(こあな)を突きます。
部材加工の終了
写真左=継ぎ手(穴ホゾ)の最終的な状態。 写真右=パネル(鏡板)の出来上がり。
組み立て作業
それぞれの部材を順序よく組み立てて(写真左)、最後に框(かまち)を組み付けます(写真右)。
この後、ドアの高さを定寸にカットをして仕上げます。
塗装作業
塗装することによって、製品が輝きを増します。
塗装工程は、通常「下塗り(着色)~中塗り(サンディングシーラー)~仕上げ」の3段階からなります。
完成品
仕上がったドアに金物の加工を施し、枠に取り付けて「ハイ、完成で~す!」
さらに……
さらに複雑な加工の積み重ねで、このようなドアだってできてしまいます。
※このドアの製造工程は「東京建具協同組合」監修によるマニュアルビデオとして、販売されています。
ビデオ購入ご希望の方は こちら をご覧下さい。
フラッシュ建具の基本デザイン
ここに木製フラッシュ建具の基本デザインを示します。
これらはほんの一例に過ぎません。デザインのパターンは無限にあります。
えっ!これがフラッシュドア?
斬新なデザインのフラッシュドア
既成概念にとらわれない自由な発想、そんなデザインを可能にするのがフラッシュドアです。
ムクドアに見えませんか?
パッと見はどう見てもムクドア!
でも、構造はフラッシュドアなのです。通常は合板を貼るのですが、これはムク材の挽き板を貼ってあります。
開き戸の開閉方法
説明するまでもないと思いますが、開き戸の開閉方法を図示します。
開き戸のデッドスペース
引き戸の開閉方法
説明するまでもないと思いますが、引き戸の開閉方法を図示します。
引き戸のバリエーション
引き戸の納まり
引き戸を真横から見たところ
折れ戸の開閉方法
折れ戸の開閉方法を図示します。
折れ戸のバリエーション
折れ戸には→固定式とフリーオープン
→インセットとアウトセット
──といったバリエーションがあります。
和風建具「格子戸」
和風住宅の玄関建具といえば「格子戸」でしょう。
ガラスのない時代には、格子戸はみな吹き抜けで作られていました。、おもに、外門から玄関に至る途中の中門に取り付けられていましたが、ガラスの登場によって玄関に使用されるようになったと思われます。
縦・横の格子の巧みな組み合わせによって、様々なデザインが無限に生み出され、中には、芸術に域に達するものもあります。
実用の面から見た場合には、ガラス戸として使用されるため、防犯上、ガラスを割られても鍵に手が掛からないようなデザインの製品をお勧めします。
和風建具「舞良戸」
板戸の中でも細い桟~舞良桟(まいらざん)~を入れたものを「舞良戸」(まいらど)と呼びます。
純粋な和風住宅が少なくなった現代ではなかなかお目にかかることが少なくなりましたが、和風料理屋のトイレなどでは見かけることがあります。
従来はほかに廊下の通路、押し入れ、物入れ、下駄箱などにも使用されます。
和風建具「唐戸」
「からど」と読みます。
「唐戸」はしばしば、洋風のドア~特にパネルドア~の意味で使われることもありますが、本来は神社、仏閣の建具を意味します。
門扉と同じく重厚な作りの建具ですが、宗派などによりいくつかの決まりがあるようです。ここにその代表的な形状を示します。